縁取りのメガネ
女の子が持っていたのは、かなりぶ厚い黒い縁取りのメガネだった。レンズのカタチは今風の細長くておしゃれなものだった。
メガネはとても女の子に似合っていた。
「すごく可愛い。よく似合いはりますよ」
私はお世辞ではなく心から思ったことを正直に伝えた。
「でもね。左のレンズがなんとなく合ってないような気がするんです。
検査してもらえません?」
女の子は不服そうだった。
やばい。検査の仕方がわからなかった。すぐ目の前に検査器があったけれど、どういうふうに動かせばよいのかわからなかった。
ええい。ままよ。と適当に触って動かすふりをした。
どこをどう触っても作動せずライトがつかなかった。どないしよう。どないしよう。と、あせりながら早く情報を取り戻して欲しいと、私の肉体のどこかで眠っているはずのもうひとつの情報に必死で呼びかけていた。
起きてよ。起きてよ。お客さんやで。はよ。はよ。はよ。
するとそこにアシスタントがやってきて、手際よく検査器を動かしてくれた。
アシスタントのおかげで検査は、スムーズに終わった。
女の子は、満足げにそのメガネをかけたまま店を出ていった。
それから私の情報は、ずっと失われないまま目が覚めてしまった。
情報という情報g、脳内を駆けめぐる毎日。