人の気配
お姑さんが亡くなって住む人がいなくなったので、私たちに住んでもらえないかと、伯母に頼まれたのだ。要するに、「家の番」を頼まれたのだった。
伯母も昔はその家に旦那さんとお姑さんといっしょに住んでいたのだけれど、旦那さんが戦死してしまってから幼い息子を連れて実家に戻ったらしい。しかし籍だけはずっとそのままだったということだ。以来お姑さんは、ずっと一人でそこに住んでいた。
そのへんの込み入った事情は、私にはよくわからないけれど、とにかく
私たちは、その家に住むことになった。
夢の中の私たち家族は、二階に人の気配を感じて怯えていた。
「二階からにんにくの匂いがするねん。誰かにんにく焼いているんちがうかな」
ある真夜中に母が私に言った。
「おかあさん、絶対二階に様子とか見に行ったらあかんで、何されるかわからへんで、」
と私は答えていた。
恐る恐る襖を開いて二階をのぞくと、灯りが見えた。
それから後は、もう支離滅裂。
二階から降りてきたのは、格闘家の角田さん親子だった。
角田さんは、恐ろしく無表情だったけど、紛れもなくあの角田さんだった。
角田さんの息子さんの方はあまりよく覚えていない。
「そういえば、この間。ここに美輪明弘さんもお見えになっていましたよ」
と、私は角田さんに向かって話しかけていた。
角田さんは、ノーリアクションノーコメントだった。