至近距離で携帯を使う
友人が布団に横になっていて、少し離れて母と私が、ちょうど友人を頂点にして三角形を描くような位置関係で座っていた。 友人と私は、お互いに携帯電話で話をしていた。恋愛話だった。 母の視線を気にしながら、携帯から聞こえてくる友人の声に耳を傾けていた。 そうしているうちに、とうとう母の視線に耐えきれなくなって 「あのな、今、うちのお母さんが近くにおるからものすごく話しにくいねんけど、全部聞かれてしまっているみたいやし」 と携帯でそのことを友人に伝えた。 寝床で携帯を持ちながらこっちを見ている友人と目が合った。 友人は「せやね」と、うなずいた。 すぐ近くにいるんだから、携帯で話す必要などどこにもなかった。 にもかかわらず、夢の中の私たちは、そのことに気づいていないようで、お互い真顔で携帯を使って話をしていたのである。
ソーシャルブックマークへ登録する