立ち入りの禁止の二階から現れた人その1

私が子どもの頃に二年ほど住んでいたことのある家が夢の中に出てきた。 かなり老朽化した木造の二階建てで、トイレが家の外の掘っ立て小屋みたいなところにあった。汲み取り式でトイレと言うより便所と言った方がイメージに合うかもしれない。お風呂はなくて、近くの銭湯に通っていた。 土間があり、かまどもあった。 二階建てだったけれど、二階は立ち入り禁止になっていた。 二階は蔵のような場所になっていて、そこに(私たち家族が住む前に住んでいた人の)祖先の品々が保管されているとのことだった。 仏壇のある部屋の襖を開くと二階に続く階段があった。ちょうど「新撰組」に登場する池田屋の階段みたいな階段だった。薄暗くてなんとも陰気で不気味な感じのする階段だった。 そこの襖を開ける必要がなかったので、普段私たちは襖の向こうにある階段の存在をほとんど意識することはなかった。 仏壇はその家代々受け継がれているものだった。 私たちとは縁もゆかりもない仏壇だった。 その家は伯母(父の姉)の嫁ぎ先の家だった。 お姑さんが亡くなって住む人がいなくなったので、私たちに住んでもらえないかと、伯母に頼まれたのだ。要するに、「家の番」を頼まれたのだった。 伯母も昔はその家に旦那さんとお姑さんといっしょに住んでいたのだけれど、旦那さんが戦死してしまってから幼い息子を連れて実家に戻ったらしい。しかし籍だけはずっとそのままだったということだ。以来お姑さんは、ずっと一人でそこに住んでいた。 そのへんの込み入った事情は、私にはよくわからないけれど、とにかく 私たちは、その家に住むことになった。

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