盗難ワンピース染め変え事件

見知らぬ白い軽自動車に乗って、家族4人でドライブしていた。 カーステレオから、原田真二の「ていーんずぶるーす」が流れてきた。 軽快で乗りのよい曲だったけど、この曲を録音した覚えはなかった。 そのうちに、稲垣潤一の「夏のクラクション」に変わった。なつかしかった。 それからどこかの駐車場に着いた。駐車料金が、タバコを一箱買うと無料になるということを後から知って、 「今ならまだ間に合うかも、引き返してタバコ一箱買ってタダにしてもらいーさ」と 助手席の私は運転席の夫にうながしていた。 それもそうやな、と、夫は駐車場に引き返したけど、徒労に終わってしまった。残念。 はっと気づくと、私は後部座席に移動していて、前の席には見知らぬ若い男女が座っていた。 若い女の方が、こちらを振り向いて言った。 「行く先々で車を止めて戻ってくるとダッシュボードに私のワンピースがすみれ色に染め変えられて押し込まれているの、これはいったいどういうわけなの?」 いきなりそんなこと私に訊かれてもなんて答えてよいかとまどいながらも 「車から出る時は、ちゃんとロックしたのですか?」 と訊ねた。 「もちろんよ」 「それは不思議ですね。犯人はしめきった車内にいったいどうやって入れたのでしょうね?」 「そうなのよ。どうでもいいけどおかげで私のワンピースはみんなすみれ色になってしまったわ」 それにしても、ワンピースを盗んでそれをわざわざ「すみれ色」に染め変えてから車の中のダッシュボードに押し込むなんて、手の込んだことをするものだ。

犯人の意図はいったいなんなんだろう?

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